起訴猶予とは、不起訴処分の一種で、犯罪を行った疑いは十分にあると判断され、起訴の要件や訴訟条件を欠いていないけれども、検察官の裁量によって、起訴を行わないこと、その処分をいいます。
検察官は、犯罪の被疑者について、起訴するか、不起訴とするか判断権を有しています。
検察官は、被疑者を起訴し、訴訟追行するための要件が整っていない場合、起訴することはできませんが、他方、起訴するための要件が整っている場合、必ず起訴しなければならないわけでもありません。
仮に、起訴や訴訟追行の要件が整っていたとしても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重、犯罪の情状、犯罪後の情況などから、裁判を行って罰を与える必要がないと判断した場合、起訴しないことが認められています(刑事訴訟法248条)。
起訴しなくても社会秩序の維持に支障がなく、被疑者の改善更生が認められる場合などにおいて、検察官に、起訴の必要がないとして起訴しないことを認める制度を、起訴便宜主義といいます。
例えば、被害額が僅少な初犯の万引き(窃盗)事犯など比較的軽微な事件において、犯人が十分に反省し、再度犯罪を行う可能性が低い場合などには、起訴猶予になる可能性もあると考えられます。
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