刑事事件における鑑定とは、特別な学識経験を持つ専門家に、その専門知識の内容や事実の法則、または、専門知識を用いて認識・判断した内容やその法則を具体的事実に適用して得た判断を報告してもらうことをいいます。
鑑定の手続きは、捜査機関が専門家に嘱託して行われる場合(刑事訴訟法第223条)と、裁判所の命令によって行われる場合(同法第165条)があります。
捜査機関が専門家に嘱託して鑑定を行う場合、鑑定そのものは、鑑定を受けた者(鑑定受託者)から、任意に意見・報告を受けるのであり、任意捜査・任意処分として行うことが可能です。
ただし、鑑定のために、一定の場所へ立ち入ったり、身体検査や物を破壊したり、鑑定を受ける人を留置する必要がある場合、強制力が伴うため、それぞれ令状(鑑定許可状、鑑定留置状)が必要となります。
鑑定の結果、鑑定書が作成され、その後の捜査や刑事手続き、刑事裁判で証拠(同法第321条)として用いられたりします。
なお、鑑定は、民事訴訟・民事裁判においても、裁判官の専門知識を補充し、その判断の材料とするために、行われる場合があります(民事訴訟法21条以下)。
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