遺産分割の禁止とは、直ちには遺産分割協議を円満に行うことができない等の理由により、当面の間遺産分割を見合わせることをいいます。
以下の場合に、遺産分割を禁止することができます。
①遺言による遺産分割の禁止 (民法908条)
遺言者は、遺言の方法により相続開始の時から5年を超えない期間内で遺産の分割を禁止することができます。
②協議による遺産分割の禁止
遺産分割は、相続開始後いつでも行うことができ、遺産分割をする時期についての制限はありません。しかし、相続人や遺産の範囲が確定しない場合や、遺産の種類等からすぐに分割することは控えた方がよいという場合などに、共同相続人間で遺産分割を禁止する旨の協議を行うことができます。
③家庭裁判所による遺産分割の禁止
共同相続人間で協議が整わない場合には、家庭裁判所に対して遺産分割の禁止についての調停の申し立てを行うこともできます。
また、家庭裁判所は特別の事由があれば、遺産分割審判の中で5年以内の期間を定めて、遺産の全部または一部についての遺産分割禁止の審判を行うことができます(民法907条3項)。特別の事由とは、②のような理由により分割を禁止することが全相続人にとって利益となる場合をいいます。
関連用語 遺産分割
関連問題 相続問題