刑事事件における検証とは、捜査機関などが、場所・物・人などの検証の対象について、その存在、性質や形状、状態を五官の作用を用いて認識する捜査や処分をいいます。
検証には、令状に基づき強制捜査・強制処分として行われる検証(刑事訴訟法218条)と、令状によらず任意捜査・任意処分として行われる検証があります。
交通事故の事例などで、公道上で行われている実況見分は、任意捜査・任意処分として行われる検証の1つです。
これに対し、プライベートな空間について現場検証する場合、関係人の同意が得られれば、任意捜査・任意処分として検証が行われますが(任意捜査の原則)、同意がない場合、強制捜査・強制処分として検証令状に基づいて現場検証が行われます。
なお、身体検査は検証の一種ですが、身体に対しては特別な配慮が必要となるため、検証令状ではなく身体検査令状に基づいて行われる上(同条第1項後段)、身体検査のための条件を付されることもあります(同法第219条)。
また、検証は、例外的に、逮捕の現場においては令状なしで行うことがが認められているほか(同法第220条1項2号)、すでに逮捕・勾留されている被疑者の指紋採取、足型採取、身長体重測定、写真撮影も令状なしで行うことが認められています(218条3項)。
なお、検証は、民事訴訟・民事事件において、証拠資料を得るために、行われることもあります。民事訴訟における検証は、裁判所が行います。
関連問題 刑事事件、刑事弁護