除斥期間とは,一定の権利について,その権利を行使しない場合の権利の存続期間をいいます。
詳しい解説
1 除斥期間とは
除斥期間とは,ある権利について,権利を行使しないまま一定の期間が経過することで、権利が消滅するという制度です。
権利が行使されない状態,権利関係が確定しない状態を防ぎ,権利関係を短期間に確定する目的で定められています。
2 消滅時効との相違点
除斥期間は,一定期間権利行使しないことで権利が消滅するという点で,消滅時効と共通する部分があります。
しかし,除斥期間が,期間の経過のみで権利が消滅するのに対し,消滅時効では,時効期間の経過と合わせて,当事者による時効援用があって権利が消滅する点で異なります。
また,除斥期間は,権利を行使しない限り,期間の進行を中断させることができないのに対し,消滅時効では,時効期間の進行を中断させることが出来る点で大きく異なります。
3 除斥期間の具体例
・財産分与請求権 2年(同法768条)
・遺留分減殺請求権 10年(同法1024条)
4 民法改正に関する注意点
民法改正により,従前,除斥期間とされていた権利について,期間が短縮される,除斥期間の対象でなくなる,消滅時効とされるなど,大きく変更される権利があり,注意が必要です。
改正民法は,2020年4月1日より施行予定です。
除斥期間が改正される例
・債権者取消権(詐害行為取消権) 20年の除斥期間(民法426条) →10年の出訴期間に改正されます。
・不法行為による損害賠償請求権 20年の除斥期間(民法724条) →消滅時効に改正されます。
関連条文
民法 426条 724条 768条 1024条
関連問題 離婚問題(財産分与・慰謝料) 相続問題(遺留分)