現在、衆議院で民法の改正案が審議中なのをご存じですか?
民法が改正されると、私たち弁護士の業務はもちろん、私たちの日常生活にも、さまざまな影響・変化をもたらす可能性があります。
そこで、この民法改正について、本コラムにてシリーズ化し、簡単かつ分かりやすく、解説・説明していくことにしました。 本コラムでは、シリーズ”ゼロ”と題して、そもそも民法とは何か、なぜ民法が改正されるのかなどを、説明します。
民法とは
売買、雇用、賃貸借、請負や贈与など身の周りの,日常生活の様々な場面で関わってくる各契約や,契約の解除など契約にまつわるルールなどを定めているのが民法という法律です。 契約のこと以外にも,婚姻や離婚,相続などを定めていますし,20歳未満の者を未成年と定めているのも,民法です。 私たちの日常生活のさまざまな場面で、民法という法律がルールとして働いているのです。
民法改正の経緯
この民法という私たちの生活に深く関わっている法律が制定以来初めて、本格的な変更を受けようとしています。 民法を改正しようとするその理由は,とてもわかりやすく一言で説明すると,「古いから」ということです。 この民法が制定されたのは明治29年(親族や相続を規定した部分は明治31年)で,明治31年(西暦1898年)から使われてきたルールということになります。 部分的な変更・改正はされてきましたが,100年以上前に決められたルールが,現在もあまり変わることなく使われているわけです。 ですから,それはもう「古い」,現代社会に合わないという部分がたくさん出てきてしまっているわけです。
民法改正の時期
現在、衆議院で民法の改正案が審議中です。 この改正案は、法制審議会での5年以上に及ぶ審議の結果に則ったもので、実際に施行されるまでにはまだあと数年かかりそうですが、いずれ大きな修正はなく可決成立し、施行される見込みです。
債権法は、一部を除き、2020年4月1日施行となりました。
民法改正の狙い・方向性
今回の民法改正は,大幅な改正ですので,改正内容は多岐にわたりますが,改正されるのは契約を中心とした債権に関する部分です。
そして,その狙い・方向性は大きく二つあります。
一つは、一般の人にもわかりやすい民法にすること。
もう一つは、内容の現代化、現代の社会・経済情勢に合った内容にすることです。
わかりやすい民法
今までは,社会の変化に合わなくなっていた民法のルールを,裁判所が,判例を出して,実務上,修正・補っていました。
おかげで,古い民法でも何とか社会の変化に対応できていたわけですが,その弊害として,民法だけでなく,判例を知らないと,実際のルールが分からないという事態に陥ってしまっていました。
そこで,わかりやすい民法という面では、すでに確立されている判例のルールを規定に盛り込む(明文化する)という改正が多く行われています。
一般の方が法律を理解し、紛争防止の手立てを取りやすくなることにつながるので、望ましい方向性だと思います。
内容の現代化
内容の現代化という面では、従来のルールを修正・廃止して現代のニーズに合わせた部分と、新しく生まれた取引形態等を規律する新しいルールを創設した部分があります。
これまでの取引のルールや裁判結果が変わる部分も多数出てきますから、注意が必要です。
終わりに
今回の民法改正は,市民の日常生活から企業の取引まで広く適用されるルールの大改正ですから、どう変わるのか、早めにチェックしたいところです。 本シリーズでは、ルールの実質的変更があった部分(内容の現代化)を中心に、重要な改正点を確認していきたいと思います。
名古屋駅前の法律事務所,弁護士法人中部法律事務所では,弁護士が法律改正等についても日々研鑽を積み,身近でよりよいサービスを追求しています。 民法改正は個人事業主様,中小企業様ほか皆様が,現在締結している契約内容,使用いただいている契約書の効力に影響を与える可能性があります。また,民法改正後は,改正した民法に適った内容での契約,契約書を作成する必要があります。 当事務所では,月額1万5000円~の安心・低価格で,顧問弁護士をお引き受けしています。 民法改正の直前・直後は,ご相談希望が混みあう可能性があります。契約内容や契約書のチェックは,お早めに,当事務所弁護士までご相談ください。