個人の債務整理について、法人の債務整理と比較しながら、内容を解説します。
個人の債務整理と法人の債務整理の例と違い
債務整理とは、借金などの債務を減らすための手続きをいいます。
個人の債務整理の代表的な方法として、自己破産、個人再生、任意整理の3つが挙げられます。
過払い金返還請求も、債務整理の1つとして挙げられることもあります。ですが、過払い金返還請求は、借金の貸し主に払いすぎたお金を取り戻す手続きですので、ここでは説明を省略します。
法人の債務整理の代表的な方法としては、自己破産、民事再生、会社更生、特別清算、私的整理(任意整理)の5つが挙げられるでしょう。そのほかにも、事業再生ADR、中小企業再生支援協議会による再生支援などもあります。
これら債務整理の代表的な方法を比較して分かるとおり、個人の債務整理の方法は、法人の債務整理の方法としても挙げられており、法人の債務整理の方が、多くの選択肢があります。
一般的に、個人に比して法人は、社会に与える影響が大きく、債権者や利害関係人の数、債務の金額など、多数・多額、大規模になる場合があります。それぞれの規模などに応じた選択ができるよう、多くの方法が設けられているのだと思います。
また、法律上、個人の自己破産と個人再生は、法人の自己破産と民事再生の特則という形で定められています。
つまり、破産法や民事再生法は、法人が行うことを前提に定められています。個人の手続きは、法人が行う場合に比べて、特別の、簡易な手続きとして定められているのです。
個人の債務整理(自己破産・個人再生・任意整理)
【自己破産】
借金など債務の支払いが不能な場合に、破産法に基づき、債務を免除してもらう裁判手続きです。
99万円までの自由財産以外の財産を処分することになりますが、公租公課など一部の債務を除いて、債務はすべて免責されます。
借金をゼロにして、再スタートすることができます。
【個人再生】
このままでは破産するおそれがあるとき、民事再生法に基づき、借金を大幅に減額してもらい、減額された借金を、原則3年の分割返済して、借金を整理する裁判手続きです。
住宅ローンの残っているマイホームを手放さない方法もあります。
【任意整理】
借金の貸主と、借金の減額や将来利息のカット、分割回数など返済条件の変更等を個別に交渉して、借金を整理する手続きです。
相手方の同意を要するため、借金の大幅な減額がされないケースが多いですが、裁判手続きではないことから、整理する借金を選択できるなど、手続きに柔軟性があります。
●各手続きの違いをまとめた一覧表●
※表中の記載は、原則を記載しています。詳細は、各業務案内(●自己破産 ●個人再生 ●任意整理)をご確認下さい。
|
自己破産
|
個人再生 |
任意整理 |
裁判手続きか |
○ |
○ |
× |
整理する借金を 選択できるか |
できない |
できない |
できる |
どれくらい 借金が減るか |
原則としてゼロ |
大幅に減額 (最大5分の1まで) |
貸主との交渉次第 |
財産処分の必要性 |
処分の必要あり 自由財産(99万円を超える財産)を除く |
処分の必要なし |
処分の必要なし |
資格制限 |
あり |
なし |
なし |
債権者の同意 |
不要 |
不要 |
必要 |
回数制限 |
あり 1度破産すると 7年は免責されない |
なし |
なし |
根拠法 |
破産法 |
民事再生法 |
民法など |