自己破産したら、賃貸住宅を追い出されてしまうのでは・・・そんな不安を抱えている方もいるかもしれません。
ここでは、自己破産の賃貸住宅に及ぼす影響について、考えてみましょう。
自己破産を理由に賃貸借契約を解除することはできません
アパートやマンションなど賃貸住宅の貸主は、借主が自己破産したことを理由に、賃貸借契約を解除することはできません。
かつての民法は、借主が破産することを理由に賃貸借契約を解除することを認めていました。けれど、住居が破産者の生活基盤であることはいうまでもありません。このような規定は、破産者の経済生活の再生の機会の確保を図るという破産法の目的に反しますので、削除されました。ですから、現在では、自己破産を理由に、賃貸人から賃貸借契約を解除することはできなくなりました。
賃貸借契約書に、借主が自己破産したときは賃貸借契約を解除できるという特約があるとしても、同様です。このような特約の有効性はかつて裁判で争われ、最高裁が無効である旨判断してます。特約は無効なので、やはり、自己破産を理由に賃貸借契約の解除はできません。
その他に賃貸借契約を解除する理由がある場合
ところで、賃貸住宅の貸主は、借主が自己破産する際に、賃貸借契約を解除することが一切認められないわけではありません。
自己破産を理由とした契約解除ができないにすぎず、ほかに解除する理由があれば、賃貸借契約を解除することができます。
自己破産の際によく問題となるのは、家賃を滞納している場合です。
自己破産で免責になる債務は、借金だけではありません。破産手続きの開始前に生じている滞納家賃も免責の対象となります。
そして、破産手続きでは、債権者は平等に扱わなければなりません。賃貸住宅に住み続けたいからと滞納家賃だけ返済をすることは許されず、滞納家賃も、破産手続きをしなければならないということです。その結果、家賃の滞納を理由に賃貸借契約が解除されることもあるので、注意が必要です。
自己破産しても賃貸アパート・マンションを借りられる?
自己破産しても賃貸アパートやマンションを借りることは可能です。
しかし、事実上、入居審査がとおらず、希望の物件を賃貸できないことは、起こりうるといえます。
例えば、家賃の支払いをクレジットカード払いに指定している賃貸物件があります。自己破産すると、5年から10年程はクレジットカードを作成できませんので、このような物件を賃借するのは難しいといえます。
また、保証会社を付けることを条件にしている賃貸物件もあります。保証会社によって審査基準や個人信用情報(いわゆるブラックリスト)の確認の有無等が異なるため、一概にはいえませんが、保証会社によっては、審査を通さない会社もあるでしょう。
自己破産後に引越し・賃貸アパートやマンションを借りられる際は、家賃の支払いをクレジットカード払いにしている物件は避けるなど、入居審査の通る物件を探しましょう。公営住宅などの利用を検討するのもよいかもしれません。