自己破産は、保証人にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
　今回は、主債務者が破産する場合の保証人への影響について、考えてみます。

保証とは

　保証人とは、借金など債務を負っている人（主債務者といいます）が、債務を返済できなくなった場合に、主債務者に代わって返済する義務（保証債務といいます）を負う人のことをいいます。
　保証は、債権者と保証人との間で成立します。
　保証人が、主債務者に代わって債務を返済することを、保証債務を履行するといいます。保証人は、保証債務を履行すると、債務者に対して、履行に応じた求償権を有することになります。

≪具体例を挙げて説明すると、次のようになります≫
・Ａさんが、Ｂさんから１００万円を借り、Ｃさんが保証人になりました。
　⇒主債務者：Ａ　債権者：Ｂ　保証人：Ｃ
　　Ａさんは、Ｂさんに対して１００万円の貸金債務、Ｃさんは、Ｂさんに対して１００万円の保証債務を負います。
・Ａさんが借金を返さないので、ＢさんがＣさんに請求すると、Ｃさんは５０万円だけ返してくれました。
　⇒Ａさんは、Ｂさんに対する５０万円の貸金債務とＣさんに対する５０万円の求償債務を負います。

　保証は主債務者に代わって返済する義務であることから、主債務者が返済を続けていれば、通常は、保証人が保証債務を履行し、求償権を取得することはありません。
　そのためなのか、自己破産される方の中に、時々、保証人がついていることを忘れている方や求償権を取得していない限り保証人を破産債権者と扱わなくていいと誤解されている方がいらっしゃいます。

主債務者（破産者）は

　債権者に対する主債務も、保証人に対する求償債務も、免責の対象となります。非免責債権に該当したり、免責不許可にならない限り、両債務とも免責されます。保証人が保証債務を履行しておらず、具体的な求償権が生じていない段階であっても、保証債務を債権者一覧表に記載して、破産債権者として扱う必要があります。

保証人への影響

　これに対して、保証人の保証債務は、主債務者が破産しても免責されません。他方で、保証人の主債務者に対する求償権は、主債務者が免責されることで、請求できなくなります。
　また、通常は、債権者から、保証債務を履行するよう一括請求されます。

★まとめ★
≪先ほどの例で、今回検討のケースにあてはめてみましょう。Ａさんが破産者です。≫
　Ａさんは破産し、Ｂさんに対する５０万円の貸金債務、Ｃさんに対する５０万円の求償債務を免れます。　
　他方で、ＣさんのＢさんに対する５０万円の保証債務は引き続き残ります。加えて、Ａさんに対する５０万円の求償権は行使できません。Ｃさんが、Ｂさんにさらに５０万円を払ったとしても、その分の求償権も行使できません。

　以上のとおり、主債務者が破産すると、保証人に少なからぬ影響が生じ、場合によっては、保証人も自己破産などの債務整理を検討する必要があります。