自己破産したら、子ども、親、妻、夫、兄弟姉妹など、家族に影響しますか?
ここでは、自己破産と家族への影響を取り上げてみましょう。
法律上の影響
自己破産することで、破産法上、破産者の家族であるという理由で生じる効果・影響はありません。
債権者から家族に請求がいくということはありませんし、家族が借入やローンが組めなくなるということもありません。破産者本人の財産は、一定の財産(自由財産)を除いて処分することになりますが、家族の財産が没収・処分されてしまうということもありません(家族名義の財産であっても、実質的に破産者本人の財産といえる場合、処分の対象となります)。破産したからといって、家族を扶養する義務がなくなるなどということもありません。
他方で、保証人である、債権者であるなど、一定の債権債務関係がある場合は、その家族には影響が出ることになります。例えば、保証人であれば、債権者から請求される(保証債務の履行を求められる)ことになりますし、債権者であれば、その債権は破産債権として免責される可能性があります。しかし、これは、一定の債権債務関係があるために生じる影響であり、家族だからという理由で生じる影響ではありません。
実生活上の影響
自己破産する場合、これまでの借金の返済は停止、免責され、また、一定の財産(自由財産)を除いて処分しなければならないなど、破産者の生活に変化が生じます。同居している家族などは、破産者の生活の変化に伴い、実生活上の影響を受ける場合があります。
こういった実生活上の影響は、法律論からは離れることになりますが、自己破産を検討される方にとっては知りたいところかと思いますので、取り上げてみたいと思います。
・借金の返済が止まる、借金がなくなるので、家計の状況が改善されます
・ローンの残っていた財産(住宅・車・携帯電話など)は、手放さなければならないものがあるかもしれません。これに伴い、引っ越し、通勤・通学・お出かけの際の移動手段の変更、携帯電話を変更する必要などが生じます
・滞納家賃がある場合、家賃の滞納を理由に賃貸借契約を解除され、引っ越しを余儀なくされる場合があります(自己破産をしたことを理由に賃貸借契約を解除することは認められていません)
・一定金額の解約返戻金が出る保険は解約しなければなりません。保険の再加入等が必要になります。
・破産者が契約者となっている家族カードは、利用できなくなります
・5年から10年ほどは、破産者を契約者とする新たな借入やローンができません。
このように、破産者自身に生じる効果・影響が、間接的に家族に及ぶことはあるといえます。
ただ、家族に内緒で自己破産したいと希望される方は多く、そのような場合、ほとんどの方が家族に内緒で自己破産をされています。家族に内緒で自己破産している例に照らすと、間接的に家族に生じる影響というのも、実はそんなにないのかもしれません。