戸籍の附票とは、戸籍と一緒に管理されている記録で、当該戸籍に入っている人の住所移転の履歴を証明するものです。
住所の証明書といえば住民票が一般的ですので、戸籍の附票を取得したことがない方も多いと思います。私もこの仕事をするまでは取得したこともなかったですし、存在自体を知りませんでした。
戸籍の附票が役に立つのは、住所の履歴を証明しなければならない場合です。典型的な例としては、不動産や自動車の名義を取得した方が、売却などによって名義を変更する場合です。
その場合に、引越しなどによって住所が変わっていると、記録されている名義人と今回売却する方が同一人物かどうか書面上わかりません。登記簿や自動車の車検証を見てもらえばわかりますが、役所に記録されているのは取得した方の住所・氏名のみです。同姓同名の方はいくらでもありうるので、住所も完全に一致しないといけない、という扱いです。
住民票には同一市町村内の移動や前住所は記載されますが、市町村をまたいで何度か引越しをしているような場合には、それぞれの市町村に請求する必要があります。また、住所移転してから5年間経つと、記録自体が消去されている場合が多いです。
そこで戸籍の附票の登場です。戸籍の附票は戸籍にくっついている記録なので、その戸籍に入っていた間の住所移転の履歴は全て記録されています。つまり、これまで本籍地を動かしていない方であれば、何度住所移転をしていても、自分の本籍地で戸籍の附票を取得するだけで、全ての住所移転履歴の証明が取得できることになります。
また、戸籍の附票の便利な点は、戸籍に入っている人が一人でも残っていれば(除籍していないということです)、結婚などで除籍された方についても、当該戸籍に入っていた期間の附票が取得できる点です。
ただし、当該戸籍が除籍となった時点(全員が死亡などにより除籍された時点)から5年で戸籍の附票は消去される(保存期間が5年のため)ので、その点は注意が必要です。
いずれにせよ、過去の住所や住所移転日を知りたい、現住所とのつながりを証明しなければならないような場合には、戸籍の附票というものがあることを知っておいて損はないと思います。
(司法書士 尾﨑政友)