法務局の不動産調査に関する証明書などでよく利用されているものをまとめてみました。
登記事項証明書
1筆の土地及び1個の建物ごとに、不動産の物理的現況(表題部)及び権利関係(甲区・乙区)が記録されています。登記事項証明書の記載は非常に簡潔ではありますが、一つ一つの言葉の使用方法などが厳格に運用されていますので、多くの情報を得ることができます。
※不動産の表題部(物理的現況の記載部分)記載事項は次のとおりです。売買契約書や銀行の抵当権設定契約書などに記載する正式な不動産を特定する情報も、以下の記載があれば大丈夫です。
土地・・・①所在 ②地番 ③地目 ④地積
建物・・・①所在 ②家屋番号 ③種類 ④構造 ⑤床面積
マンション(敷地権化されたもの。敷地権化されていないものは、通常の土地建物と同じ表記をします。)
(一棟の建物の表示)①所在 ②建物の名称 ③種類 ④構造 ⑤床面積(②が登記されていれば、③、④、⑤の記載を省略できます)
(専有部分の建物の表示)①家屋番号 ②建物の名称 ③種類 ④構造 ⑤床面積
(敷地権の目的である土地の表示)①土地の符号 ②所在及び地番 ③地目 ④地積
(敷地権の表示)①土地の符号 ②敷地権の種類 ③敷地権の割合
各種図面
登記事項証明書のみでは、土地の形状や長さ、隣接地、建物の配置といったことはわかりません。したがって、表題部の記載内容を図示(ビジュアル化)した各種図面が整備されています。
1.地図(不動産登記法第14条に定める地図)
原則として、昭和26年の国土調査法に基づく調査がなされた地積図です。比較的精度が高く、面積はほぼ正しいといえます。
2.地図に準ずる図面(公図)
明治時代の地租改正の際に作成された図面を基にした地図です。現地を正確に表していない場合が多く、不動産登記法上も①の地図が整備されるまでの暫定的な図面として取り扱われています。
3.建物図面・各階平面図
建物図面は、建物の形状及び敷地との位置関係を示した図面です。各階平面図は、各階の形状を図示し、その床面積及び求積の方法を記載したものです。
4.地積測量図
その土地の形状、地積(面積)と求積方法などを記載したものです。昭和40年以降に分筆登記により新たに地番が作成された場合(登記簿が新たに作成された場合)は、原則として地積測量図が存在します。
その他
1.ブルーマップ
ブルーマップとは、「住所⇔地番」を調べることができるようにした株式会社ゼンリン発行の地図のことです。住宅地図と公図を重ねたような地図です。
住居表示などにより、住所と土地の地番は異なることがあります。登記事項証明書などの取得は全て地番によって特定する必要がありますので、これがあると便利です。なお、ブルーマップと呼ばれる理由は、地番が青字で印刷されているためです。
余談ですが、ブルーマップは株式会社発行の地図であるため、著作権の関係で閲覧はできても法務局でコピーすることはできません。法務局によっては、見張り番みたいな人がいてコピーを取り締まっていたりします。
2.住居表示対照表
住居表示対照表とは、「地番⇔住居表示」を調べることができる台帳です。全ての法務局に置いてあるわけではないと思います。通常は市町村に聞けばわかるので、私はあまり利用していません。
3.マンションの家屋番号台帳
マンションの家屋番号台帳とは、「マンションの部屋番号⇔部屋番号に対応する家屋番号」を調べることができる台帳です。マンションの登記事項証明書を取得する場合、所有者は住所(○○号室)はわかっていても、家屋番号を知らないことが多々あります。
そのような場合、実務上は権利書や固定資産納税通知書が手元にあればよいですが、なければ法務局まで行って調べることもあります。
(司法書士 尾﨑政友)