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公正証書遺言に誤記がある場合の相続・遺贈登記方法(平成25年8月5日)

 公正証書遺言に間違い(誤記)がある場合、どのようにすればよいのでしょうか。まず、公正証書遺言と遺言執行者について確認したいと思います。

 

公正証書遺言

 公正証書遺言とは、公証人の関与のもとで作成される遺言のことをいいます。遺言の内容を遺言者本人が口頭で述べ(口授)、それに基づいて公証人が作成します(民法969条)。法律の専門家である公証人が関与することで、形式・内容について不備のない遺言を作成することができます。

 

遺言執行者

 遺言執行者とは、遺言の内容を具体的に実現する人のことをいいます。遺言を書いたとしても、死後にそれを具体的に実現する人が必要です。例えば、不動産であれば名義変更を行ったり、預貯金であれば銀行に払戻しなどを行う必要があります。

 

 遺言執行者は、相続人の代理人として、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権限と責任があります。仮に遺言執行者が置かれていない場合には、相続人全員によって遺言を実現するか、家庭裁判所に遺言執行者を定めてもらう必要があります。

 

不動産の相続・遺贈登記

 不動産の所在地番に間違い(誤記)があった場合、公正証書記載の所在地番と、登記簿記載の所在地番が異なることとなり、法務局は同一不動産と認定せず、そのまま申請すると、相続・遺贈登記は却下されます。

 

 そのような場合は、公証役場で誤記証明書なるものを発行してもらい、それを公正証書遺言と一緒に提出することで、登記は受付される取り扱いです。この取り扱いが認められる明文規定はありませんが、単なる誤記と認められるような場合で、誤記を公証役場が証明している場合は、柔軟に対応しているのでしょう。

 

 なお、誤記証明を申請できるのは、相続人に特定不動産を相続させる遺言の場合は、当該相続人となります。これは遺言執行者の定めがある場合でも同様です(相続人に特定不動産を相続させる遺言の場合、原則として遺言執行者の出番はありません)。また、遺贈の場合で、遺言執行者が定められている場合は、遺言執行者が誤記証明を申請します。

 

 公正証書遺言は、公証人の他、遺言者本人はもちろん証人2人が内容を確認しているため、間違いがあるケースはほとんどないと思われますが、人間のすることであるため、ごく稀に誤記があります。そのような場合でも、慌てずに誤記証明が取得できないか確認してみるとよいでしょう。

 

(司法書士 尾﨑政友)

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