土地の面積は、しばしば登記簿と実測で異なります。例えば、登記簿上は120.35㎡となっていても、実際に測量してみると、131.21㎡だったりします。もちろん、少なくなる場合もあります。
このようなことはなぜ起こるのでしょうか。
理由として、登記簿の面積の由来が挙げられます。そもそも登記簿の土地面積は、明治政府が行った地租改正の際に測量された結果が承継されています。具体的には、地租改正の際に作成された地券台帳が土地台帳に引き継がれ、土地台帳と登記簿が一元化される際に土地台帳の記載が登記簿に移記されました。
当時の測量技術が未熟だったことや、面積に応じて課税されるために過少申告が行われたことなどが、面積の相違の原因と言われています(もちろん地域や場所にもよるでしょうが)。過少申告説が本当かどうかはわかりませんが、実際の測量の結果としては、実測すると面積が増えることのほうが多いようです。
なお、地租改正とは、明治政府が行った土地制度の改革で、地券(「ちけん」現在の権利書のようなもので、取引は地券に基づいて行われました)を発行して土地の所有者を確定し、その所有者に納税義務を課すとともに、課税の基準を従来の土地の収穫量から地価に改め、税金を物納(米など)から金納(税金)に移行するものです(国土交通省HPより)。
土地の取引では、最近測量が行われた場所を除いて、通常は測量をした上で売買します。売買価格を登記簿面積で算定し、実測との違いを精算するかどうかはケースによりますが、買主が土地の活用をする上では正確な測量結果が必要ですし、越境物などの有無の確認もされます。
近年の測量では、最新のGPSを使った測量も増えています。GPS測量とは、GPS電波を利用して、土地が日本のどこにあるのかを、緯度・経度で特定するものです。したがって、GPS測量がされた土地では、仮に崖崩れや工事により、境界杭(隣地との境界ポイントに埋め込まれる杭)が失われても、境界を正確に復元でき、面積も正確です。
余談ですが、地震による地殻変動に伴い、広範囲にわたって地表面が水平移動した場合には、土地の筆界(公図などに記載されている公法上の境界のこと)も相対的に移動したものとして取り扱うようです。(兵庫県南部地震による土地の水平地殻変動につき、平成7年3月9日民三第2589号民事局長回答)
(司法書士 尾﨑政友)