内縁とは、実質的には夫婦でありながら、戸籍上の婚姻の届出がなされていないために、法律上夫婦とは認められない関係のことをいいます。
内縁の終了には、2つのケースが考えられます。
一つは、合意による内縁解消です。当事者が話し合って、夫婦同様の関係を終了させる場合です。この場合、内縁期間中に形成された実質的共有財産につき、財産分与の請求が認められます(最判昭和33年4月11日)。
また、財産の中に不動産があれば、財産分与を原因をする所有権移転登記も可能です(昭和47年10月27日民事発559号回答)。なお、この回答のケースは、判決で「財産分与を原因として所有権移転登記手続をせよ」と命じられたものですが、通常の共同申請によって(当事者作成の登記原因証明情報により)も、財産分与を原因として所有権移転登記をすることが可能と解されています。
もう一つは、死亡による内縁の終了です。この場合は、従来は対立がありましたが、最高裁判所平成12年3月10日決定により、死亡の場合は相続法によって処理がなされることになりました。すなわち、生存当事者から死亡相手方の相続人に対する財産分与請求はできないということになります。
したがって、自らが死亡した場合に備えて、内縁関係にある相手方に財産を残すためには、生前に不動産の名義を変更したり、遺言を残す(遺留分にも配慮した上で)などの方法を検討する必要があります。
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(司法書士 尾﨑政友)