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良い印鑑、悪い印鑑(平成25年6月25日)

 司法書士は、印鑑(特に実印)に接する機会が最も多い職業の一つだと思います。これは、司法書士が法務局に提出する書類を作成する点からきています。

 

 法務局は、不動産や会社に関する登記などを行う国の機関です。登記の審査は、原則として全て書面で行います(形式審査)ので、不動産の売買や担保の設定といった重要な権利義務に関する登記申請の書類には、実印の押印が求められます。

 

 ここでは司法書士の視点からよい実印、悪い実印を整理したいと思います。基準は、偽造のされやすさ、です。

 

 近年では印影をスキャナーで読み取り、それをデジタル修正してプリントされたりするようです。したがって、印影を流出させないことはもちろん(むやみに実印を押さない)、スキャナーで読み取りにくい印影が望ましいといえます。

 

 具体的には、文字の線が細いほど、読み取りにくくなりますので、文字の線が細いほうが好ましいといえるでしょう。ただし、周囲のふちまで細くなると、すぐに欠けますので、周囲のふちは太めのほうが長持ちします。

 

 また、字の書体についても、一般に出回っている書体ではない独自のもののほうが好ましいといえると思います。よく縄文土器の模様のような印鑑を作っている方がいますが、あれも一つの書体であり、必ずしも独自のものとは限りません。少なくとも手彫りで加工・仕上げしたものがよいと思います。

 

 悪い印鑑は、やはり100円ショップなどで売っている既製品のものです。私も昔その印鑑を実印登録していましたので、あまりいえないのですが、大きさが小さいため判別するポイントが少なくなりますし、同じようなものが出回っているためです。

 

 なお、素材としては、やはり象牙が一番朱肉になじみやすく、印影も綺麗に出ます。同様にマンモス(ロシアの永久凍土から出たものが出回っているようです)も素材としてはいいようです。ただ、柘などでも普段使用する分には全く問題ないと思います。ちなみに、私の職印は柘です(実印は黒水牛)。

 

(司法書士 尾﨑政友)

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