今回は資本金の決め方です。
資本金とは、会社に出資された財産の価額のことをいいます。通常金銭
出資が多いですが、不動産、自動車や商品在庫、仕事用のパソコンや設備
機器なども、現物出資として資本金に計上することができます。
このように出資された財産の総額が資本金として登記されることになり
ますが、では資本金はいくらくらいに設定すればよいのでしょうか。
法律上は、1円からでも可能ですし、実際1円にして会社を設立される方
もいらっしゃいます。また、5年以内に1000万円にしなければいけない
という規制(かつての確認会社)もなくなりましたので、1円のまま会社を
継続することが可能です。
しかし、あまりに少ない金額では、会社の運転資金が当初から不足してい
ることになりますし、後日の株式譲渡や増資の際に余計な手間がかかるかと
思います。業種によっては会社の信用問題にも関わってくるおそれがあります。
では多ければいいかというと、そうでもありません。資本金1000万円
以上になると、消費税の免税の点で不利になります。また、実質的には出資
されないお金(いわゆる見せ金)を資本金に計上するのは違法ですし、融資な
どの審査で不利になります。なお、融資の審査と資本金の金額とは全く関係が
ありません。
一般的には、開業される業種において、当初3ヶ月間会社の事業を継続する
上で必要な資金分くらいは、資本金として準備しておいたほうがよいといわれ
ています。もちろん、それ以上でもそれ以下でも構いません。実務上は、名古屋
で会社を設立する場合で、個人の会社の場合は100万円~600万円くらいが
多いように思います。
大事なことは、実態に合った範囲で無理なく出資することだと思います。
(司法書士 尾﨑政友)