シリーズ2回目は、本店所在地の決め方です。
本店所在地として、一般的には、①貸事務所や店舗にする場合、
②自宅にする場合、とが挙げられると思います。以下それぞれの
注意点を記載します。
①貸事務所や店舗にする場合
この場合、最初の契約の段階では、まだ会社ができていないため、
まず個人で契約をした上で、会社ができた後に法人として契約し直す
か、会社の設立登記申請が済んだ段階で正式な契約書を交わすか、の
いずれかになるかと思います。
また、場所の特定として番地以降の○○ビル○階まで入れるかどう
かは自由ですが、通常は郵便物等の問題もあるため、入れることが多
いように思います。
②自宅にする場合
自宅にする場合で問題となるのは、分譲・賃貸マンションの1室を
本店所在地とする場合です。この場合、管理規約等で事務所使用が禁
止されている場合がありますので、事前に確認しておいたほうがよい
でしょう。
また、事務所使用が事実上許されていても、会社登記上の本店所在地
にすることを禁止している場合もありますので、注意が必要です。
ただし、これはあくまで管理組合等との関係での話ですので、仮に管
理規約等で禁止されていたとしても、登記自体は通ります。
また、所在地の表記方法はある程度自由に決めることができます。
自然人の場合は、役所が住所地を厳格に管理しています。例えば、1丁目
2番3号という住所を、「1-2-3」と住民票に載せたいと申し出ても、
難しいと思います。反対に、会社の場合はそのあたりは割と緩やかです。
なお、最近では、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店所在地
に登記する例も増えています。バーチャルオフィスなどは便利な反面、
事業実態の審査で銀行口座開設や許認可、助成金がもらえない可能性もあ
りますので、事前に確認しておいたほうが無難です。
(司法書士 尾﨑政友)