アベノミクス、黒田日銀の影響で、日本の長期金利が変動しています。
そもそも長期金利とは、償還期間が長い債券などのことを指しますが、
代表的なものは新規10年物国債の金利です。固定型の住宅ローン金利は、
概ね10年物国債の金利と連動しています。
住宅ローンを組む際、変動にするか固定にするか、悩まれる方も多いと
思います。変動型は、金利が低い(毎月の返済額が少なくて済む)一方、
将来の金利上昇リスクがあります。固定型は、金利が変動型よりも高い
一方、将来の金利上昇リスクに強い商品です。
FPなど専門家の多くは、現在の金利が過去最低金利に近いことなどを
理由に、固定型を勧めることが多いように思います。確かに、金利の低下
余地が乏しいことを考えると、固定金利を選ぶ絶好の機会であるというの
も一理あります。
他方で、少子高齢化の日本で、金利上昇の余地がどれだけあるのかとい
う指摘ももっともです。また、変動金利は短期金利に連動するため、固定型
の金利が上昇したからといって、直ちに変動型の金利が上昇するわけでは
ありません。こちらをみてもらえばわかるように、最近の長期金利上昇局面
でも短期金利は安定しています。
結局のところ、将来の金利予測は不可能といえばそれまでなのですが、収入
の多い方については、変動型で組んでおいて、初期に多く繰り上げ返済をする
ことで、変動型のメリットを享受しつつ、リスクにも対応できるかと思います。
なお、最近では、変動型と固定型のミックスローンのような商品も出てきて
います。
ミックスローンとは、例えば、3000万円を1500万円ずつ変動と固定で
借り入れて、金利の低いときは固定型の繰上げ返済を行い、金利の高いときには
変動型を優先的に返済することで、両方のいいところを取り入れつつ、リスク管理
もある程度可能というものです。
いずれにせよ、人によってリスクもさまざまですので、住宅ローンを組む際は
専門家のアドバイスを求めたほうが安心かと思います。
(司法書士 尾﨑政友)